サイコ育成師だった彼の前に現れた少女“じゅん”。内気な少女は翻弄され、言葉巧みに
催眠の使える少女に育てられていく。じゅん○歳。
じゅんが消息を絶った事を知った正義感の強い姉の“まな”は単身じゅんのいなくなった公園へと向かう。
しかし昼間の公園はいつもと変わらぬ日常が流れていた。途方にくれるまなだったが、
きっとじゅんの痕跡があるはずだと自分に言い聞かせ、全身砂だらけになりつつも
諦めず公園にいたはずのじゅんの手掛りはないかと捜索する。
じゅんがよく遊んでいた公園、じゅんがいつもはしゃいで遊んでいたすべり台、
じゅんが黙々とお城を作ったりして遊んでいたお砂場。
もっと一緒に遊んであげれば良かったと、いまさらになって思う。
「じゅん、どこにいるの。お姉ちゃんとまたゲームして遊ぼ?」
そう呟くと涙が出そうになる。
でもここで泣いてしまったらじゅんが本当にいなくなってしまうようで、唇をかみ締めぐっと堪える。
太陽が紅く染まる夕暮れの静かな公園。夏の終わりを告げる鈴虫の声だけが響いていた。
悲しみの行き場もなく途方にくているまな、そんな時、背後から背格好の華奢な男に話しかけられる。
「どうしたんだい、こんな時間に。迷子なのかい。それとも何か探し物かな。手伝ってあげようか?」
優しげに掛けられるその言葉に、じゅんがいない悲しみと夕暮れ時の心細さも相まって
つい気を許して泣いてしまいそうになる。
だがここで泣いてはいけない、妹がきっとわたしの助けを待っている。
そう、心に誓うとすこし勇気が出てくる。「じゅんが、わたしの妹のじゅんがいないんです。」
じゅんの名前を出すと、男は少しびっくりした様子で少し考えた後、静かにこう言った。
「・・・じゅんちゃん? 知っているよ。ついて来なさい。」
皆があれだけ探しても見つからなかったのに、こんな簡単に見つかるなんて。本当かな。話がうますぎない?
騙されてはいけない。そう思いつつも“まな“はじゅんが生きているかもしれないという希望を胸に、ついていく事を決断する。